年金制度改正で社会保険の適用が拡大!企業が今から準備すべきこと
2025/05/28
年金制度改正で社会保険の適用が拡大!企業が今から準備すべきこと
2020年5月29日、「年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律」が国会で成立し、同年6月5日に公布されました。この法改正には、少子高齢化の進行や働き方の多様化を背景に、年金制度の持続可能性を高めるためのさまざまな見直しが盛り込まれています。その中でも特に注目されているのが、短時間労働者に対する社会保険(健康保険・厚生年金保険)の適用範囲の拡大です。2024年10月には、その法改正の一環として、社会保険加入対象者を広げる企業規模要件の緩和が実施されました。
これにより、これまで社会保険に加入できなかったパート・アルバイトなどの短時間労働者も、より多くが加入対象となります。本記事では、法改正の概要を整理するとともに、企業が今から取り組むべき準備や注意点についてわかりやすく解説します。
社会保険の適用拡大とは?
まず、社会保険の適用対象となる短時間労働者の条件を確認しておきましょう。これまで、社会保険に加入するためには以下のすべての要件を満たす必要がありました。
- 週の所定労働時間が20時間以上であること
- 月額賃金が8.8万円以上であること(年収106万円以上に相当)
- 雇用期間が2ヶ月を超える見込みであること
- 学生でないこと
- 特定適用事業所(従業員数が一定数以上の企業)で勤務していること
このうち、企業規模要件は段階的に引き下げられており、2022年10月からは従業員数101人以上の企業、2024年10月からは従業員数51人以上の企業が対象となりました。将来的には、さらに企業規模要件を撤廃し、すべての企業を対象とする方向で検討が進められています(ただし、撤廃の具体的な時期はまだ決まっていません)。
この改正により、これまで社会保険に加入できなかった多くのパート・アルバイトの方が、新たに健康保険や厚生年金保険に加入することになります。企業としては、社会保険料の負担が増える一方で、従業員の福利厚生が向上し、長く働きやすい職場環境を整えるチャンスにもなるでしょう。
企業が準備すべきこと
1. 社内制度の見直し
適用拡大により、新たに社会保険の加入対象となる従業員が発生するため、就業規則や賃金規程、雇用契約書の内容を必ず確認・修正する必要があります。特に、勤務時間の管理方法や社会保険加入を前提とした契約条件、賃金の支払い方法などについても見直しが必要です。労使間での認識のズレがないよう、十分な説明を行うことも忘れないでください。
2. 従業員への周知・説明
「社会保険に入ると手取りが減るのでは?」
「扶養から外れることになるの?」
「社会保険料を払うメリットは何?」
こうした疑問や不安を抱く従業員は少なくありません。企業としては、社会保険の仕組みや負担の内容、将来の年金受給や健康保険給付のメリットなどについて、丁寧に説明することが大切です。社内説明会やQ&A資料の配布、個別相談の実施など、複数の方法で情報提供を行い、従業員が安心して制度に参加できる環境を整えましょう。
3. 経営への影響の把握
社会保険の適用拡大により、企業側が負担する社会保険料が増加することは避けられません。特に、従業員数の多い中小企業や、パート・アルバイトが多い業種では、経営へのインパクトが大きくなる可能性があります。事前にシミュレーションを行い、どの程度の負担増となるかを試算し、必要に応じて予算の見直しや業務改善策を検討しておきましょう。
また、社会保険加入に伴い発生する手続き(被保険者資格取得届の提出など)についても、漏れや遅れがないよう社内のフローを明確にし、担当者の役割分担を決めておくことが重要です。被保険者資格取得届は、該当する従業員が要件を満たした日の翌日から起算して5日以内に提出する必要があるため、特に注意が必要です。
4. 助成金の活用
企業にとって、社会保険料の負担増は悩みの種ですが、厚生労働省ではこれをサポートするための助成金制度を用意しています。たとえば「社会保険適用時処遇改善コース」では、社会保険適用拡大に伴い新たに加入対象となった従業員の処遇改善に取り組んだ場合、助成金を受け取れる可能性があります。最新の助成金情報は厚生労働省のウェブサイトなどで随時確認し、積極的に活用しましょう。
まとめ
2020年に成立・公布された年金制度改正法に基づき、2024年10月から社会保険の適用範囲がさらに広がりました。企業としては、以下の準備を早めに進めることが重要です。
✅ 就業規則・雇用契約書の見直し
✅ 従業員への周知・説明
✅ 経営への影響の把握とシミュレーション
✅ 助成金の活用
法改正の詳細や自社への影響について不安がある場合は、社会保険労務士などの専門家に相談することをおすすめします。
当事務所でも、制度改正に関するご相談を承っておりますので、お気軽にお問い合わせください!
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