カスタマーハラスメント対策
2026/03/16
カスタマーハラスメント対策
2026年10月の義務化を見据えて企業が今から整備したい労務管理のポイント
はじめに
近年、「カスタマーハラスメント(カスハラ)」という言葉を耳にする機会が増えています。
顧客や取引先からの過度な要求や暴言などにより、従業員が精神的な負担を抱えるケースが社会問題となっています。
厚生労働省が公表した**「職場のハラスメントに関する実態調査(2024年)」**によると、
**過去3年間に顧客等から著しい迷惑行為(カスタマーハラスメント)を受けたと回答した労働者は10.8%**となっており、約10人に1人が経験している状況です。
また、2025年には労働施策総合推進法が改正され、
企業に対するカスタマーハラスメント対策が義務化されることが決まりました。
施行は 2026年10月1日 とされており、企業には従業員を守るための体制整備が求められます。
今回は、カスタマーハラスメントの基本と企業が取るべき対策について整理します。
カスタマーハラスメントとは
厚生労働省の企業向けマニュアルでは、カスタマーハラスメントについて次のように整理されています。
「顧客等からのクレーム・言動のうち、要求内容の妥当性に照らして、要求を実現するための手段・態様が社会通念上不相当であり、その結果として労働者の就業環境が害されるもの」
つまり、すべてのクレームがカスハラになるわけではありません。
商品やサービスに対する正当な苦情や問い合わせは通常の顧客対応ですが、
要求内容や言動が社会通念上の範囲を超えた場合にカスタマーハラスメントとなります。
カスハラの代表的な例
企業の現場では、次のような行為がカスハラに該当する可能性があります。
- 暴言・人格否定・侮辱的な発言
- 長時間のクレーム対応を強要する
- 土下座など過剰な謝罪を求める
- 威圧的な態度や脅迫的言動
- SNSや口コミサイト等での執拗な誹謗中傷
- 不当な金銭やサービスの要求
このような行為が続くと、従業員の精神的負担が大きくなり、職場環境の悪化にもつながります。
カスハラが企業にもたらすリスク
カスタマーハラスメントは、単なる顧客対応の問題ではなく、企業経営にも影響を与える可能性があります。
従業員のメンタル不調
理不尽な要求や暴言への対応が続くことで、従業員のストレスが蓄積し、メンタル不調につながる可能性があります。
離職・人材流出
接客業やコールセンターなどでは、カスハラを理由に離職するケースも少なくありません。
人材確保が難しい時代において、企業にとって大きな損失となる可能性があります。
安全配慮義務の問題
企業には、労働契約法第5条に基づく安全配慮義務があります。
従業員が安全に働ける環境を整備することは企業の責任であり、カスハラへの対応を放置した場合には、企業の責任が問われる可能性もあります。
企業が取るべきカスハラ対策
カスハラ対策では、事前のルール整備と現場対応の両方が重要です。
① カスハラの定義を社内で明確化
まず、どのような行為がカスハラに該当するのかを社内で整理します。
社内マニュアルや方針として具体例を示しておくことで、従業員が判断しやすくなります。
② 対応フローを決めておく
従業員が一人で抱え込まないよう、対応手順を決めておくことが重要です。
例えば
- 担当者による一次対応
- 上司へのエスカレーション
- 組織としての対応判断
- 必要に応じて対応中止や来訪拒否、取引停止等の措置
といった段階的な対応ルールを整備します。
③ 記録を残す
カスハラ対応では、事実関係の記録が非常に重要です。
- 対応日時
- 相手の発言内容
- 対応した従業員
- メール・録音等の証拠
こうした記録は、後のトラブル防止や法的対応の際にも役立ちます。
④ 従業員への教育・研修
従業員が過度に謝罪したり無理な対応を続けたりしないよう、カスハラ対応の基本を共有することが重要です。
研修では次のような内容を周知します。
- 一人で抱え込まない
- 危険を感じた場合は対応を打ち切る
- 上司へ速やかに報告する
⑤ 必要に応じて外部機関と連携
悪質なケースでは、次のような外部機関との連携も検討します。
- 警察
- 弁護士
- 顧問社労士
企業として従業員を守る姿勢を明確にすることが重要です。
まとめ
カスタマーハラスメント対策のポイントは次のとおりです。
- カスハラの定義を明確にする
- 社内の対応ルールを整備する
- 記録を残す仕組みを作る
- 従業員教育を行う
- 必要に応じて外部機関と連携する
2026年10月からは、企業に対してカスタマーハラスメント対策が義務化されます。
今後は、従業員が安心して働ける環境づくりが企業の重要な責任となります。
早い段階から体制整備を進めておくことが大切です。
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