【2026年版】算定基礎届とは?
2026/05/11
【2026年版】算定基礎届とは?
4月〜6月の給与が重要になる理由をわかりやすく解説
はじめに
毎年7月になると行う「算定基礎届(さんていきそとどけ)」。
社会保険の手続きの中でも、
- 「なぜ4月〜6月の給与を見るの?」
- 「残業が多いと保険料が上がる?」
- 「通勤手当も含まれる?」
- 「賞与は対象になる?」
など、疑問を持たれることが多い手続きです。
特に中小企業では、給与計算担当者が他業務と兼任しているケースも多く、毎年慌ただしく対応している企業も少なくありません。
今回は、算定基礎届の基本と、4月〜6月の給与が重要になる理由を整理します。
算定基礎届とは?
算定基礎届とは、毎年1回、従業員の社会保険料を見直すために提出する届出です。
正式には、
- 健康保険
- 厚生年金保険
の「標準報酬月額」を決定し直すための手続きになります。
簡単に言うと、
「現在の給与水準に合わせて社会保険料を見直す制度」
です。
なぜ4月〜6月の給与を見るの?
算定基礎届では、原則として、
- 4月
- 5月
- 6月
に「支払われた報酬」の平均額をもとに、標準報酬月額を決定します。
その結果、原則として9月分の社会保険料から反映されます(一般的には10月支給給与から控除)。
ただし、その後に固定的賃金の変更などがあった場合は、「月額変更届(随時改定)」により途中で保険料が変更されることがあります。
どの報酬が対象になる?
対象となるのは、基本給だけではありません。
例えば、
- 基本給
- 残業代
- 通勤手当
- 役職手当
- 住宅手当
- 資格手当
など、原則として「労働の対価として支払われるもの」が対象です。
💡 注意点
通勤手当は、税法上は非課税であっても、社会保険上は原則として報酬に含まれます。
賞与(ボーナス)は含まれる?
一般的な賞与(ボーナス)は、通常は算定基礎届の対象には含まれません。
ただし、
「年4回以上支給される賞与」
については、社会保険上は「賞与」ではなく「報酬」として扱われます。
そのため、7月1日前の1年間に受けた賞与の合計額を12で割った額を、各月の報酬に加算して標準報酬月額を算定します。
名称ではなく「支給回数」で判断されるため注意が必要です。
残業が多いと保険料も上がる?
はい、上がる可能性があります。
例えば、
- 4〜6月だけ繁忙期で残業が多かった
- 一時的に手当が増えた
という場合でも、その期間の報酬平均で標準報酬月額が決まるため、社会保険料が高くなるケースがあります。
ただし、社会保険料のみを目的として不自然に労働時間や賃金を調整すると、実態との乖離が生じる可能性もあります。
また、実態と異なる給与調整や勤怠処理を行った場合、後の調査等で問題となる可能性もあるため注意が必要です。
「年間平均」で決定できるケースもある
業務の性質上、
- 毎年4〜6月だけ繁忙期になる
- 季節要因で残業が大幅に増える
など、通常月とかけ離れた報酬になる場合があります。
このようなケースでは、
前年7月から当年6月までの年間平均で算出した標準報酬月額と、通常の4〜6月平均で算出した標準報酬月額との間に2等級以上の差があり、その差が業務の性質上、例年発生することが見込まれ、被保険者本人の同意がある場合には、年間平均による保険者算定が認められることがあります。
なお、年間平均を計算する際は、原則として支払基礎日数が17日未満の月を除いて算定します。短時間労働者の場合は11日未満の月を除きます。
ただし、
- 本人同意
- 要件確認
- 理由説明資料の提出
などが必要になるため、個別判断が必要です。
算定基礎届の対象者
原則として、7月1日時点で社会保険に加入している被保険者および70歳以上被用者が対象です。
ただし、次のような人は提出対象外となる場合があります。
- 6月1日以降に資格取得した人
- 6月30日以前に退職した人
- 7月改定の月額変更届を提出する人
- 8月または9月に随時改定が予定されている旨を申し出た人
※随時改定の要件に該当しないことが判明した場合は、後日、算定基礎届の提出が必要です。
例えば、6月1日に社会保険資格取得した従業員は、原則としてその年の算定基礎届の対象外となります。
「支払基礎日数」に注意
算定基礎届では、「給与額」だけでなく支払基礎日数も重要です。
原則として、支払基礎日数が17日以上ある月を算定対象とします。
ただし、
- 短時間労働者(特定適用事業所等)は11日以上
- パート等の短時間就労者は、4月・5月・6月のいずれも支払基礎日数が17日未満の場合、15日以上17日未満の月を対象に算定
など、勤務形態によって取扱いが異なります。
また、月給制・日給制・時給制でも考え方が異なるため注意が必要です。
育休・休職中の従業員は?
4月・5月・6月のすべてで報酬をまったく受けていない場合などは、従前の標準報酬月額で決定されることがあります。
なお、報酬支払いがない場合でも、算定基礎届の提出自体は必要です。
また、途中復職した場合などは、復職時改定(月額変更届)の対象となる場合もあります。
個別判断が必要になるケースも多いため、注意が必要です。
よくあるミス
① 通勤手当を含めていない
通勤手当は、非課税でも原則として報酬に含まれます。
② 「勤務月」で見ている
算定基礎届は、
❌「働いた月」ではなく
✅「支払った月」
で判断します。
例えば、
「6月勤務分を7月払い → 7月分として扱う」
となります。
③ 支払基礎日数の誤り
月給制・日給制・時給制で扱いが異なるため、短時間労働者では特に注意が必要です。
月額変更届(随時改定)との違い
混同されやすいのが「月額変更届(随時改定)」です。
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電子申請も増えています
近年は、算定基礎届も電子申請を利用する企業が増えています。
特に、
- 複数事業所
- 従業員数が多い企業
- 給与ソフト連携
などでは、電子申請の方が効率的です。
また、資本金1億円超の法人など、一部の法人では社会保険手続きの電子申請が義務化されています。
まとめ
算定基礎届のポイントは次のとおりです。
- 4〜6月に「支払われた報酬」が基準
- 通勤手当や残業代も含まれる
- 非課税通勤費も対象
- 原則9月分保険料から反映
- 支払基礎日数に注意
- 「勤務月」ではなく「支払月」で判断する
- 年4回以上の賞与は報酬扱いになる場合がある
毎年行う手続きだからこそ、基本ルールを整理しておくことが重要です。
最後に
算定基礎届は、
- 社会保険料
- 従業員負担
- 将来の年金額
にも関わる重要な手続きです。
特に、厚生年金の標準報酬月額は、将来受け取る年金額にも影響します。
一方で、
- 支払基礎日数
- 短時間労働者
- 月額変更届との違い
- 年4回以上賞与の扱い
- 年間平均による保険者算定
など、実務上迷いやすいポイントも少なくありません。
実務では、勤務形態や手当内容によって判断が分かれるケースもあるため、制度理解と正確な確認が重要になります。
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